【入門】背景のボケを作る〜 レンズと絞り の設定法

背景ボケを撮るための レンズと絞り の基礎

映像制作をしていると、被写体を際立たせるために背景をぼかしたいことがあります。これは「背景ボケ」や「ボケ味」と呼ばれ、特にポートレートやインタビュー映像でよく使われます。今回は、初心者向けに背景ボケを作るための「レンズ」と「絞り」の関係について解説します。

1. 背景ボケとは?

背景ボケ(Bokeh)は、被写体以外の部分をぼかすことで、主役を引き立たせ、視覚的に魅力的な映像を作る技術です。背景を柔らかくぼかすことで、映像に立体感や深みを与える効果があります。この背景ボケを作り出すには、「レンズの焦点距離」と「絞り(F値)」が大きなポイントになります。

2. レンズと焦点距離の関係

焦点距離とは、レンズの「どれくらい拡大して撮影できるか」を示す値で、ミリメートル(mm)で表されます。焦点距離が短いレンズは広い範囲を撮影でき、焦点距離が長いレンズは遠くのものを拡大して撮影できます。この焦点距離は、背景ボケの量にも影響します。

広角レンズ(焦点距離が短い、例: 18mm)

広い範囲を撮影できるため、背景までの距離が遠くなりやすく、ボケが少ない映像になります。背景と被写体がどちらもシャープに映りやすいです。

望遠レンズ(焦点距離が長い、例: 85mm以上)

遠くのものを大きく撮影できるため、背景が圧縮されて、ボケやすくなります。望遠レンズは背景を大きくぼかす効果があり、被写体が際立ちます。

3. 絞り(F値)とボケの関係

絞りとは、レンズを通る光の量を調節するための機構です。絞りは「F値」で表され、F値が小さいほど絞りが開いた状態(光がたくさん入る)で、F値が大きいほど絞りが閉じた状態(光が少ない状態)です。このF値の違いが、背景ボケに直接影響します。

F値が小さい(例: F1.4、F2.8)

絞りが開いている状態で、ピントの合う範囲(被写界深度)が浅くなります。その結果、背景が大きくぼけ、被写体だけが際立つ映像を作り出します。明るいレンズほどこの効果が強く、背景を美しくぼかせます。

F値が大きい(例: F8.0、F11.0)

絞りが閉じているため、ピントの合う範囲が広くなります。結果的に背景までシャープに映り、ボケが少なくなります。

4. 背景ボケを作り出すためのポイント

背景ボケを効果的に作り出すために、以下のポイントに気を付けましょう。

1. F値を小さく設定する

F値が小さいほど、背景が大きくぼけます。F1.8やF2.8などの「明るいレンズ」を使用すると、簡単にボケを作ることができます。

2. 焦点距離の長いレンズを使う

望遠レンズや中望遠レンズ(50mm~85mm以上)を使うことで、背景ボケを作りやすくなります。被写体が際立ち、背景が美しくぼける効果が得られます。

3. 被写体に近づく

カメラと被写体の距離が近いほど、背景ボケは強くなります。逆に、被写体が背景に近いと、ボケが弱くなるので、距離感を意識して撮影しましょう。

4. 背景との距離を取る

被写体と背景の距離が遠いほど、背景がぼけやすくなります。広い空間や遠景を使って、より大きなボケを作ることが可能です。

5. ボケを活かしたシーン例

インタビューやポートレート撮影

被写体の顔を際立たせるために背景をぼかし、人物に集中させることができます。特に感情や表情を強調したいシーンに効果的です。

商品レビューや料理撮影

商品や料理にピントを合わせ、背景を柔らかくぼかすことで、対象物が引き立ちます。シンプルで魅力的な見せ方が可能です。

まとめ

背景ボケを効果的に作るためには、「レンズの焦点距離」と「絞り(F値)」が鍵になります。焦点距離の長いレンズと、F値が小さい絞りを使うことで、美しいボケを作り出し、被写体を際立たせることができます。背景ボケは、映像制作においてプロフェッショナルな雰囲気を演出する強力なツールです。これらの基本を押さえて、シーンに応じたボケを活用していきましょう。